
こんにちはtukasaと申します。
今日は「正義の教室」を紹介します。
こんな人におすすめ
・ 正義とは何かについて知りたい人
・ ストーリー形式で哲学に触れてみたい人
・ 監視社会について考えてみたい人
内容
「正義とは何か」について学校を舞台に描かれた作品。
風祭先生が教える特別授業、「倫理の授業」=「正義の授業」
生徒は生徒会メンバーである、正義、倫理、千幸、ミユウ。
正義の判断基準は3つに分けられる。
「平等・自由・宗教」
この3つについて生徒である女の子倫理、千幸、ミユウの人物タイプに重ね合わせて解説されています。
倫理・・・宗教の正義=直観主義(道徳を重視せよ)
千幸・・・平等の正義=自由主義(自由を重視せよ)
ミユウ・・・自由の正義=功利主義(平等を重視せよ)
この3つの正義を表すのにピッタリの3人の性格。
それぞれが自分の思想(正義)を語り、そこに潜む問題点を風祭先生が手厳しく指摘する。
授業の後、生徒同士で問題点について話し合う。
この3つの正義・主義について考えさせられ、とても深く学ばせてくれる1冊。
メニュー
- ある男の選択
- 倫理的な彼女たち
- 3種の正義「平等、自由、宗教」
- 平等の正義「功利主義」
- 幸福は客観的に計算できるにか?
功利主義の問題点 - 自由の正義「自由主義」
- 格差を広げ、弱者を排除してもいいのか?
自由主義の問題点 - 宗教の正義「直観主義」
- 人は正義を証明できるのか?
直観主義の問題点 - 正義の終焉
- 正義の決断
point✅
✅功利主義
✅自由主義
✅直観主義
感想
非常に面白い。
知的+ユーモアで楽しく哲学の世界に入っていける。
説明もとてもわかりやすく解説されていて、著者の飲茶さん、すごい。
この難しい内容をこのように仕上げられるなんて。
図書館で借りて読んだのだけれど即買いです。
平等の功利主義、自由の自由主義、宗教の道徳。
どれも正しいようで問題点も多く含む。
正義ってなんだろう?
この本を読んでいて改めて感じたのは、「正義」と「悪」というのは人によって変わるもの。
というのもその国の制度、主義によって正悪は変わってしまうから。
平等の共産主義・社会主義国家と平等の民主主義国家とでは正悪の判断も変わってくる。
また信仰する宗教によっても教えが違うから、行いへの正悪は変わってきてしまう。
突き詰めていくと絶対的な正義や悪なんてものってあるのかな?と考える。
自分では正しいと思っていた行いも、他者からすれば迷惑であり悪なのかもしれない。
子供の頃、絶対的な正義の味方、ヒーロー戦隊や仮面ライダーといったものも、視点を変えると、また違った解釈もでてくるのだろう。洋画のマーベル映画でのアベンジャーズにもそんなシーンがありました。
怪物を倒して地球を守るのはよいけれど、その戦いの中で建物の倒壊などから被害を受ける人達も少なからずでてくる。
多数の命を助けるためなら少数の犠牲はしかたがないのか?最大多数の最大幸福を優先させるのか?
それはこの本でいうとこの功利主義的な。
ではそれは本当に正義なのであろうか?
難しい。
でも、こうして考えることは非常に楽しいことでもある。
自分なりにも正義について考えてみよう。
またこの作品で印象的だった「パノプティコン」
ベンサムが発案した刑務所の構想。
「見られているかもしれない」と思いこませる、「監視による矯正」を目的とした構造でありシステム。
なんだか今の一人に1台のスマホ+SNSはまさに「パノプティコン」監視社会(相互監視)のよう。
もちらん犯罪の抑止力にもなる利点もあるけれど、常に他社の視線を気にしながら生きていくのって、違和感を抱きます。
誰かの目がないと、監視していないと人間は「悪」となるなんて思いたくないな。
この本を読んだ皆さんは、どのような正義感をもつのだろう。
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